機体の特徴──P-3Cと互角の性能
MADブームやソノブイランチャー(ソノブイ投射器)に加え、大型のレドームを機首下方に装備したことから、胴体は大きく改修された。特に、輸送機型で見られた胴体の後部の大型の貨物用扉は廃止され、整形・延長されている。これは長距離・長時間の哨戒任務を考慮して抵抗を少しでも減少を図ろうとしたのかもしれない。
プロペラも、ロッキード(現ロッキード・マーティン)社のC-130Jに見られるような後退角付きの6枚のものが装備され、エンジン出力増強によって回転数が増加した分のパワー吸収とプロペラの抵抗の減少を図っている。
対潜器材の性能については明らかにされていないが、大型の対水上レーダーや、ソノブイ、MADブームと一通りの対潜哨戒機に必要なものを装備しており、中国国内の軍事誌などによると「P-3C相当」としているものが多い。
多くの哨戒機に見られるとおり、後部胴体側面には観測用のバブルウインドウ1が装備されたほか、前脚扉後方の機体下面にはEO(電子光学)/IR(赤外線)対応と推定される球状の光学センサーを有している。機体下面にはソノブイ運用およびESM2(電子支援策)用と推定される多数のブレードアンテナが装備されている。機体上面には矩形の平面アンテナ(初出の写真参照)が複数認められるが、GPSおよび衛星通信用であろう。
乗員はパイロット、航法士などの運航クルーのほか、10名程度の対潜クルーが機内に横向きに配置されたコンソール(操作卓)で任務に当たる。オペレーターごとのコンソールは同一の形状で、各席とも2画面のディスプレイとフルサイズのキーボードが設置されていることから、コンソールの標準化が進んでいるようだ。これはオープンアーキテクチャ3による開発に基づくものと思われ、Y-8ベースの他の作戦支援機の機内でも認められている。
> Y-8Q/KQ-200は、総合ASW作戦システムを搭載し、各種ASWシステムの任務情報については、統合的に処理されその情報が融合されてパネルに表示されるという自動化の進んだものとなっている。対潜任務に就く隊員に求められる要求は高いが、Y-8Q/KQ-200には女性の機上乗務員も登場していることが見て取れる pic.twitter.com/od3vsT67oI
— mssn65 (@jpg2t785) May 1, 2019
横向きに配置されたコンソール(操作卓)に向かう乗員
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