「中国からの挑戦状」Y-8Q対潜哨戒機─【前編】機体解説

武装──魚雷と爆雷

対潜哨戒機には魚雷や爆雷などの対潜用兵器の搭載が不可欠だが、Y-8QもP-3Cなどと同様に、機体下面にある主脚庫扉の前方付近に爆弾倉を設置している。

Y-8Qの胴体下面。前脚の後方に、両開きになる爆弾倉(ウェポンベイ)が設けられており、そのすぐ後方にソノブイランチャー(ソノブイ投射器)の孔が二つあるのが分かる

中国の報道によるとY-8Qは、米国製Mk.46 Mod 1対潜魚雷のコピーである「魚7」短魚雷のほか、対潜爆雷を搭載できるとされる。テレビ報道で認められた爆雷は、ロシア製PL250-120「Zagon-2E」誘導爆雷と酷似した外形をしており、近年の状況からロシアから導入したものの可能性もある。

PL250-120「Zagon-2E」誘導爆雷は、直径約23センチ、長さ150センチ、重量120キログラム(うち弾頭重量35キログラム)で、航空機から投下されるとパラシュートが開いて緩降下で着水する。着水後は、海面あるいは一定の深度において4分間ほど留まり、プリセット(あらかじめ設定)された敵潜水艦の音響を捕捉すると、潜航していって対象近くで爆発する。水深600メートルまでの目標に対応可能である。

Zagon-2E誘導地雷とその誘導方法。①投下後、②③パラシュートで落下し、④一定の深度に留まりつつ、敵潜水艦を発見したら、⑤潜航し、⑥付近で爆発する

一方、P-3や日本の川崎P-1、米国のP-8などが有するASM(空対艦ミサイル)の搭載能力については伝えられていないので不明。母体となったY-8は高翼配置のため、搭載などの取り回しが困難と判断されたのかもしれない。

参考文献

・『当代中国航空工业』(〈当代中国〉丛书编辑部编、中国社会科学出版社、1988年)
・『巡逻机科技知识(上)』(冯文远、遼海出版社、2015年)
・『1950年代中苏军事关系见证』(沈志华/李丹慧、复旦大学出版社、2009年)
・「舰船知识」2007年5月号(中国船舶工業集団有限公司)
・「兵工科技」2008年11月号(陝西省科学技術協会)
・「舰载武器」2010年12月号(中国船舶重工業集団公司)
・「现代舰船」2019年21期・22期(中国船舶重工業集団公司)
[ウェブサイト]
中華民国国防部
再谈中国海军的下饺子问题——反潜篇
中国需要自己的反潜巡逻机
捉“奸”?中国空潜 -200 频繁战巡台海,神秘的反潜巡逻机究竟在干什么?
航空自导深弹成运8反潜机标配武器 作战深度达600米
One Step from Nuclear War : The Cuban Missile Crisis at 50: In Search of Historical Perspective
・运8反潜机内部键盘细节,看似民用超薄键盘,却是第三代复合显控(※元ページ消滅によりリンク切れ)
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薗田浩毅元自衛隊情報専門官、軍事ライター、ネイリスト
(そのだ・ひろき)
1987年4月、航空自衛隊へ入隊(新隊員。現在の自衛官候補生)。所要の教育訓練の後、美保通信所等で勤務。 3等空曹へ昇任後、陸上自衛隊調査学校(現小平学校)に入校し、中国語を習得。
1997年に幹部候補生となり、幹部任官後は電子飛行測定隊にてYS-11EB型機のクルーや、防衛省情報本部にて情報専門官を務める。その他、空自作戦情報隊、航空支援集団司令部、西部および中部航空方面隊司令部にて勤務。2018年、退官。