次世代エンジンが米空軍をどう変えるか【米空軍のエンジン最新事情3/3】

《フェイズ1-a》F-35用の新エンジンの開発

新型エンジンの開発計画のフェイズ1では、P&W社のXA101とGE社のXA100エンジンで競合が行なわれる。

推力4万5,000ポンド級エンジンとして、最初のアダプティブエンジンは単発機であるF-35の換装用に最適化されている。このエンジンはF135の置き換え用で、元からF-35のエンジンベイに合うサイズにすることが要求されていた。

すでに、2019年2月27日にGE社は、アダプティブ・サイクル・ファン設計を基礎とする可変サイクル(variable-cycle)戦闘機エンジンの設計が終わったとしている。GE社によれば、その後、プロトタイプとなる完全なエンジンがつくられることになる。

GE社が開発しているアダプティブエンジン(Photo:GE Aviation)

XA100とXA101は組み立てられ、2021年にテストがスタートされる計画に向けて、引き渡される。エンジンはテネシー州にあるアーノルド技術開発センターでテストが行なわれるが、このテストは大規模なもので、アダプティブエンジンについて広範囲でさまざまなテストが行なわれ、その可能性が探られる。

コンプレッサー、コアエンジン、ファンモジュール、タービンや、燃焼器などがテストされる。テストは、ベースラインとなるエンジンの具体的なパフォーマンスだけではなく、アダプティブエンジンの特性や将来性についてもテストされることになる。アダプティブエンジンの動的変形における巡航モードと戦闘モードでの3層エアフローについてや、熱交換器の特性も検査される。

得られたデータは時間をかけて分析され、今後、改良などに必要になるものが探られる。これらのテストで得られた経験が、将来、数十年間のアメリカにおけるジェットエンジン開発を決定づけることになるだろう。



まだ未成熟な技術についての野心的な研究が実用になるまでの難関のことは、「死の谷(valley of death)」と呼ばれることがある。新しいエンジン技術で、「死の谷」を乗り越えられるかどうかが、GE社とP&W社の今後の大きな課題である。

フェイズ1では、F-35の機体において大幅な熱管理能力の向上が要求されているとのことだ。それぞれ完全なエンジンで2021年にテストを開始する予定であり、おそらく2022年までずれ込む。

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