製造/変更後の不具合を防止する
昔の飛行機は、設計が終わり作ってしまった飛行機の運動性などを変更するには膨大な時間と費用が必要となりました。しかし現代の飛行機を飛ばしているのは、フライトコンピュータですので、このプログラムを変更するだけで、飛行機の特性を変更することが可能です。
ただし、飛行制御プログラムをちょっとでもいじれば、全飛行領域での安全性を確認しなくてはいけないので、以前ほどではありませんが、かなりの時間と費用が発生します。
ですから開発中のテストパイロットの仕事は、製造後の不具合を防止するために無限にあるのです。
飛行機が出来上がり、実際の飛行が始まれば、テストパイロットの仕事は最大限に膨らみます。初飛行だけではなく、毎回の飛行が初めての領域や各種機能のチェックとなるからです。
また、飛行機は自然環境をもろに受けます。ですから昨日は良くても、今日は不適合となることもざらに発生します。原因を調べていくと、その日の湿度が大きく前日と違っていたことなどが判明したりします。
まあ、いずれにせよ、何らかの対応が必要となります。飛行試験はやればやるほど問題が発生します。100%問題なしとなることはあり得ません。
そこでどこで合格とするかのラインを、テストパイロット同士で意見交換する必要があります。
また大切なのは、数値に現れない状況の評価です。飛行機の性能は数値で現れますので、合格不合格は明確です。
しかし問題は、特性試験です、飛行特性も振動数や振幅幅などで判定できる分野はそれなりにありますが、100%パイロットの感覚で評価する特性試験も多々あります。
また、数値で満足でも、パイロット評価が不満足の場合もあります。この場合、パイロット評価が優先されます。
特にライド・クオリティー(乗り心地)は完全に人間の感覚なので、パイロットによって評価の分かれる部分です。
さらに、飛行機のマニュアル(手順書)を作るのもテストパイロットの仕事です。
車を購入してもマニュアルはついてきます。しかし誰も読まないでしょう。車はマニュアルを読まなくても運転できるように作られているからです。
しかし、飛行機はそうはいきません。エンジンのかけ方でさえ、飛行機によってまったく異なります。キーを入れて回せばいいとか、ボタンを押すだけでエンジンがかかるわけではありません。
まあ、F-15以前と以降では戦闘機のエンジンスタートは大きく変化していますがね!(この話は別の機会に)
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