自衛隊と米軍でだいぶ違う「許容範囲」
実際には、我が国の場合は外部点検で異常を発見することは滅多にありません。でも私が米空軍でF-4を飛ばしていたとき1などは、油は漏れているし、コネクターは外れているし、パネルのネジは緩んでいるしと、散々でした(笑)。
指摘しても、爽やかな笑顔で「OK! OK!」という回答が返ってくるだけです(笑)。特に油漏れ(滲み程度)は100%「問題なし!」で回答されます。「降りてきたら足しておくよ!」とだけ言われ、そのままGOです。
担当整備員も腰にハンマーとガムテープを下げていて、「これで直らないものはないよ!」と爽やかに言いますからね~。実際、外部点検で左脚のタイヤの所でケーブルが1本抜けていたので、「これ、おかしいじゃん!!」と言ったら、そのケーブルを所定の位置へ突っ込んで、その上からガムテープを貼って、得意の「OK!」でした。
同乗している米軍パイロットに聞いても「OK!」でした。まあ、アンチスキッドセンサー2なので、「アンチスキッドを使わなければいいか~」と思って飛びましたけどね。日本ではまったく考えられない行動でした。
点検中の怪我にも注意!
外部点検に関することでもう少し付け加えると、戦闘機の上下を歩き回ることになるので怪我をしないように気を付ける必要もあります。
特に戦闘機の下はアンテナや開いているパネルとか、突起物がかなりの数ありますので、注意を怠ると体の一部がこれらに当たって戦闘機を壊したり、自分が怪我をしたりしますので、十分注意する必要があります。
よくある事例はF-15の機体前方下にあるTACANアンテナ3に背中が当たって、アンテナを欠いたりしています。
外部点検は地味な点検なのですが、大きな意味を持っていることをご理解いただけたでしょうか。
外部点検終了は、担当機4を“自分の機体”だと思って大切に整備している整備員から「機体を受け取って、オペレーションに入ります」という宣言になるわけです。
連載「戦闘機パイロットの世界2」第8回─終─
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