第1回 初期アサルトライフル──M14 vs. AK47(前半)

弾のばら撒きやすさ(近距離)はAK47

AK47とM14ライフルはベトナム戦争で対決した。ジャングルの多いベトナムでは3,700mも飛び2,000m以上離れても殺傷力のある銃と弾は必要なかった。重くて反動の強いM14ライフルは不利だった。

M14もAKのようにフルオート射撃できる機能は付いていたが、反動が強いので連射すると体格の良いアメリカ兵でも体が振り回されてしまう。それに対しAKは体格に劣るベトナム人でも楽に連射できるのだ。

M14の連射を試みている動画。扱う人の技量や経験によるが、体格の良さそうな男性でもフルオートは厳しい印象を受ける(YouTube「Kelly Alwood」チャンネル)※埋め込み動画が閲覧できない人はこちらから動画へ移動してください。

筆者はAK47のフルオート射撃の経験はあるが、M14のフルオート射撃の経験はない。しかしセミオート射撃の反動からして、この反動を1秒間に11~12回くらうのは論外、支えきれないと思う。

それに対してAK47の反動は、たしかに銃床の角度が深いので、反動で銃身が跳ね上がりはするのだが、5~6発ごとに引き金から指を離して狙い直せば、50m以内の敵兵にその5~6発中2~3発を撃ち込むことは可能だ。

AK47を連射している動画。扱う人の技量や経験によるが、AK47はフルオートで弾をばら撒くことも可能とされる(YouTube「Ohio Outdoor Journal」チャンネル)※埋め込み動画が閲覧できない人はこちらから動画へ移動してください。

反動のコントロールからいえば、肩付けをしないで腰だめ射撃をしたほうが楽である。30発の弾倉がカラになるまで銃身を水平に保つことに苦労はない。しかし腰だめ射撃では狙うことはできないから、これは市街戦やジャングル戦で20~30mの距離で突然現れた敵に正確な狙いを付ける余裕もなく弾を浴びせかける撃ち方だ。ちょっと練習すれば25mくらいの距離で射弾の半分から3分の1は人の大きさの的に撃ち込める。見通しの悪いジャングルではこれが威力を発揮する。

かくしてアメリカも突撃銃と小型弾薬の有利性を認め、口径5.56mmのM16ライフルをベトナムに投入することになる。

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かのよしのり
1950年生まれ。自衛隊霞ヶ浦航空学校出身。北部方面隊勤務後、武器補給処技術課研究班勤務。2004年定年退官。
著書に『銃の科学』『狙撃の科学』『重火器の科学』『拳銃の科学』(SBクリエイティブ)など多数。