第2回 初期アサルトライフル──M14 vs. AK47(後半)

弾倉の取付け──M14のほうが親切

弾倉を銃に付ける要領はM14もAKも(日本の64式も)同じ方式で、弾倉の前上部の窪みを銃のほうの突起にひっかけ、それから弾倉後部を持ち上げて弾倉後部の突起を銃側の留め具にひっかける。同じ要領だが、M14よりAKのほうがおおげさな動きが必要だ。

弾倉を銃に付けるとき、M14ならばボルトは開いていても閉じていてもいいのだが、基本的に開いた状態で弾倉を付け、ボルトストップを押すか、コッキングハンドルを少しだけ引いて手を離せば、バネの力でガシャンとボルトが前進し、弾を薬室へ押し込む。

M14で弾倉を交換する手順

ところがAKにはボルトを後退位置で止める機能がないので、弾倉を付けた後、コッキングハンドルをいっぱい引いて手を放すという動作が必要になる。このときAKは、安全装置を外しておかないとコッキングハンドルを引くことができない。M14は安全装置がかかっている、いないにかかわらずコッキングできる。

AKのボルトを止める機能がないということは、AKに限らずヨーロッパの銃には多いのだが、これを嫌う人は多い。M14ならば弾倉がカラになったときボルトが後退位置で止まるので弾がなくなったことがすぐ分かるのだが、AKはそれに気が付かないで引き金を引き、カチンという音がして弾がなくなったことに気が付く。

それから弾倉を交換して、コッキングハンドルを引くのだが、M14ならばボルトが後退位置で止まった状態で弾倉を交換しざま、ボルトストップを押せばボルトが前進して装填完了となってくれるので、弾倉がカラになってから再装填して撃つまでの時間はM14のほうが早い。しかしM14の弾倉は20発で、AKの弾倉は30発ということはある。

AKが、安全装置を外さなければ装填できないのは、安全装置のレバーが、コッキングハンドルの通る溝からゴミが機関部に入らないように蓋の役目をしているからで、それはそれでよい考えともいえるのだが、普通はそういうものは別部品として作るものだ。AKがいかに大量生産のために部品点数を少なくするかを重視した結果ではある。

なお、M14は機関部上面に給弾クリップを押し込める溝がある。これを使って、弾倉交換をしないで、弾倉を銃に付けたまま弾を補充できる。これは便利な機能のようだが、実際どれだけ使うことがあるのか疑問で、むしろこのように機関部上面が大きく開いていることは泥など入りやすく、よいことではない、という考えもあり、その後どこの国の小銃にも取り入れられていない。

M14の給弾クリップを押し込める溝(矢印の先)。写真は2005年、米軍との共同演習に参加したコロンビア海兵隊員(Image:National Archives)

ちなみにM14もAK47も口径7.62mmとされているが、弾丸の直径はM14が7.82~7.83mmであり、AK47は7.87~7.89mmと微妙に違っている。

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かのよしのり
1950年生まれ。自衛隊霞ヶ浦航空学校出身。北部方面隊勤務後、武器補給処技術課研究班勤務。2004年定年退官。
著書に『銃の科学』『狙撃の科学』『重火器の科学』『拳銃の科学』(SBクリエイティブ)など多数。