第8回 これから登場するJ-20Bこそが「真の姿」──J-20の性能検証(3)

真打ちとされるWS-15「峨嵋」エンジン

J-20の本命エンジンは推力18トンを目指す渦扇15(WS-15)「」だ。

推力10トン超のWS-10の実用化は、米国における1980〜90年代のP&W F100あるいはGE F110エンジンと同程度の技術レベルに到達したと考えてよいが、中国航空開発部門はWS-15の開発によりエンジン開発における格差を一気に縮めようとしていると考えられる。

展示されたWS-15「峨嵋」ターボファンエンジンを紹介しているツイート(ToughSF氏のツイート。画像クリックでツイートへ移動)

WS-15は、1990年代にロシアから入手したR79-V300エンジンの技術が基礎になっているとされる。

R79-V300は90年代に開発中止となったYak-141垂直離着陸(VTOL)戦闘機用のエンジンである。90年代、ロシア経済の低迷により苦境に喘いでいたヤコブレフは開発中止となったYak-141の技術を中国航空開発部門に売却したのだ。

同エンジンは、アフタバーナー使用時に15トンに達する最大推力もさることながら、ドライでも10トンを超えるパワーを発揮する。

ソ連のヤコヴレフ設計局がYak-38の後継機として開発した超音速VTOL戦闘機Yak-141“フリースタイル”。推力/VTOL用のソユーズR-79V-300エンジン1基とVTOL用のリビンスクRD-41(推力4,100kg)2基を搭載する。計画は1970年前半にスタートしたが、ホバリングに成功したのは1989年末となった。写真は1992年のファンボローエアショーにてホバリングを披露した際のもの(Image:Ken Videan)

1件のコメント

開発を急いでいると言いますが中国の場合少し考え方が違うと思います。コスト回収を急いでいます。エンジン開発に莫大な費用を注いでおりそれが戦闘機開発だけでは回収できないでいます。J-31などもこのWS-15を積むと言いますが、市場では契約がとれていません。中国武器市場の取引相手は中進国か後進国のため、高価な戦闘機を購入できないためです。そのため、C919など民間旅客機のエンジン用も開発して、運用実績や整備・運用経験値も含めて稼ぐ内容ではないでしょうか?軍民一体で事業に邁進する中国らしい発想です。

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薗田浩毅元自衛隊情報専門官、軍事ライター、ネイリスト
(そのだ・ひろき)
1987年4月、航空自衛隊へ入隊(新隊員。現在の自衛官候補生)。所要の教育訓練の後、美保通信所等で勤務。 3等空曹へ昇任後、陸上自衛隊調査学校(現小平学校)に入校し、中国語を習得。
1997年に幹部候補生となり、幹部任官後は電子飛行測定隊にてYS-11EB型機のクルーや、防衛省情報本部にて情報専門官を務める。その他、空自作戦情報隊、航空支援集団司令部、西部および中部航空方面隊司令部にて勤務。2018年、退官。