第2回 操縦手席/砲手席/車長席はどうなっている?──現代戦車の内部配置

ほぼ仰向けの姿勢となる「操縦手席」

(M-1戦車の場合)操縦室は車体前部に位置しており、左右に燃料タンクが配置されているため耐火性のバッフルプレートで囲まれている。操縦手は仰向けになるようなポジションを取り、上方にはペリスコープの付いたハッチが設けられている。

M1A1の操縦席(Illustration:坂本 明)

視察用ペリスコープ……倍率1倍のワイパー付きで、操縦手がここを仰ぎ見る形で操縦する。左右にもペリスコープがある。夜間走行用の暗視鏡付きのものに交換可能(中央のペリスコープのみ)
操縦士ハッチ……操縦士はここから出入りする
ステアリング・コントロール・ハンドル
ブレーキペダル
パーキング・ブレーキペダル
パーキング・ブレーキ解放ハンドル
操縦手計器盤……各種スイッチ類のマスターパネルが並ぶ
ヒーター・ダクト・コントロールレバー……暖房の調整レバー
NBC防護マスク・ホース
消火器操作ハンドル(操縦室および戦闘室消火用)
消火器操作ハンドル(動力室消火用)
シート上下調節レバー
操縦手席
インター・コム装置……内部通話装置
ハッチ開閉クランク……操縦士用ハッチを開けるか閉めるかを設定する装置
操縦士マスター・パネル……速度計、回転計、燃料計などの計器盤と各種警告灯が並ぶ
ハッチ・リフティングハンドル……操縦士用ハッチを開け閉めするハンドル

M1A1の操縦手計器盤。①メンテナンス・モニター・パネル、②燃料計、タンク切り替えスイッチ、③電力計、④回転計、エンジン・モニター・ランプ、⑤速度計、⑥トランスミッション・モニター・ランプ(Illustration:坂本 明)
M1A1の操縦手マスター・パネル。①付属システム・スイッチ類。②ライト・コントロール・スイッチ類、③車輌マスター・スイッチ、④パーキング・ブレーキ・ランプ、⑤エンジン・スイッチ類、⑥パネル・ランプ・テスト・スイッチ

戦車の操縦はオートバイのハンドルのようなステアリング・コントロール・ハンドルで行なう。右へ行きたければ(ステアリング装置の取り付け部を中心に)ハンドルを右へ、左なら左へ回せばよい(つまり、左折ならハンドル右側を前へ押し、ハンドル左側は引くことになる)。

ハンドルを回すとトランスミッションのバリアブル・ハイドロスタティック・ポンプとモーターが作動し、左右の履帯の回転速度を差動させ、車体をハンドルを回した側へ旋回させる仕組みになっている。

また右グリップはエンジンのスロットル・コントロールになっており、手前に回すと回転数が上がる。これもオートバイと同じだ。戦車のトランスミッションの変位(ギアチェンジ)スイッチもハンドル中央にある。

ステアリング・コントロール・ハンドル。トランスミッション・コントロールには左からR(リバース:後退)、N(パーク/ニュートラル:中立)、D(ドライブ:通常走行)、L(ロー:低速)、Nの反対(手前)側にPVT(ピボット:超信地旋回[efn_note]超信地旋回……左右の履帯を互いに逆方向に回転させることで、その場で旋回すること[/efn_note])がある。Dポジションはオートマチックで、スロットルの開閉度によってギアは2〜4度の範囲で自動的に変換される(Illustration:坂本 明)

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坂本明軍事ライター、イラストレーター
(さかもと・あきら)
長野県出身。東京理科大学卒業。
雑誌「航空ファン」編集部を経て、フリーランスのライター&イラストレーターとして活躍。
著書に『最強 世界の歩兵装備パーフェクトガイド』『最強 世界のジェット戦闘機図鑑』『最強 自衛隊図鑑』『世界の軍装図鑑』(学研プラス)など多数。
1/28に最新刊『最強 世界の空母・艦載機図鑑』(ワン・パブリッシング)を出版。