第2回 操縦手席/砲手席/車長席はどうなっている?──現代戦車の内部配置

戦車全体を管理できる「車長席」

車長席は砲手席の後部上方に設置されている。下のイラストはM1A1のものなので車長用統合表示装置(Commander's Integrate Display)が装備されていないが、M1A2からはCITV(Commander's Independent Thermal Viewer:車長用独立型赤外線映像装置)が搭載されている。

また車長用主照準器は砲手用照準装置に接続されているので、砲手と同じ照準映像を見ることができる。しかし射撃統制装置が砲手主導型のシステムになっているため、倍率変更や目標の捜索・照準操作に使うことはできない。M1A2ではこの点が改良されている。

M-1A1車長席(Illustration:坂本 明)

車長用キューポラ1火器照準器……砲塔上にある車長用12.7mm機銃の狙いをつけるための装置
キューポラ火器仰俯角操作クランク
ビジョンブロック(車外視察用防弾窓)……キューポラから頭を出さずに車外を確認するための覗視孔。周囲360°の全方向を確認できる
車長用パワーコントロール・ハンドル……車長が主砲や砲塔を制御するためのハンドル
室内灯
車長用主照準器……車長が主砲の照準具合を確認する装置。砲手と同じ照準映像を見ることができる
車長用キューポラ火器動力/手動切り替えハンドル
車長用キューポラ火器動力コントロール・レバー
備品収納庫
車長用シート
インターコムボックス……内部通話装置
NBC防護マスク用ホース

★赤枠の部分がM1A2から搭載されたCITV(車長用独立型赤外線映像装置)(Illustration:United States Army Research Institute)

連載「戦車の戦い方」第2回─終─

坂本明(著), ワン・パブリッシング, 2020年11月26日, ISBN:978-4651200279

脚注

  1. キューポラ……車長展望塔(commander's cupola:車長が車外を直接見るための展望塔)、もしくは砲塔上の凸部を指す

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坂本明軍事ライター、イラストレーター
(さかもと・あきら)
長野県出身。東京理科大学卒業。
雑誌「航空ファン」編集部を経て、フリーランスのライター&イラストレーターとして活躍。
著書に『最強 世界の歩兵装備パーフェクトガイド』『最強 世界のジェット戦闘機図鑑』『最強 自衛隊図鑑』『世界の軍装図鑑』(学研プラス)など多数。
1/28に最新刊『最強 世界の空母・艦載機図鑑』(ワン・パブリッシング)を出版。