貫通力を上げるには、①口径を大きく、②砲身を長く
ここで、砲弾(徹甲弾)がどの程度の厚さの装甲(圧延均質装甲鋼板1)を撃ち抜くことができるかを計算するための目安となる公式がある。それがドゥマーレの計算式と呼ばれるもので、次のように表される。
WV²=Kd³(t/d)ⁿ
W=弾体の重量
V=弾体の速度
d=弾体の直径
t=貫入の深さ
K=弾体と装甲板によって決定される常数
指数nは約1.4
具体的な数値を入れて計算することはしないが、この公式では「装甲を貫通(貫入)する深さは運動エネルギーに比例する」ことを示している。
火砲の砲弾にはさまざまなものが存在するが、それは戦車砲でも同様である。したがって、上記の公式で表される貫通力が問題となるのは、徹甲弾(装甲に穴をあけるために設計された砲弾)の場合である。
大まかにいうと、徹甲弾とは弾体自体を固い金属でつくり、それを火砲から発射する際に装薬によって与えられたエネルギーで飛行し、装甲を弾体の持つ運動エネルギーによって撃ち抜く砲弾のことである。
この計算式によると、徹甲弾の性能を向上させるには、弾体の直径を大きくするか、初速を上げることによって達成される。
それが先ほど記した①砲の口径を大きくする、②砲身を長くする、ということなのである。大口径長の砲身を搭載して初速度を上げ、貫通力を向上させた例としてはソ連のIS戦車が代表的だ。
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