第1回 スクランブル! 整備員はパイロットより忙しい!? 
連載「元F-15機付長が語る 戦闘機整備員の世界」

エンジン始動後から離陸までは速い

そこからは速い。両エンジンを始動したF-15Jは唯一開けてあるチェックが必要なドア89Lを閉め、武器整備員がミサイルのアーミングを始める。クルーチーフ(機体ごとの整備長)はインターホンを外しドア154Lを閉める。(機体の始動方法などについては後の回で詳しくお話ししますね)

「ドア89L」の中にはJFSのアキュームレータ1のインジケーター(計器)があるため、JFSスタート後に蓄圧を確認してからドアを閉じる。「ドア154L」はインターホン・コネクターがあるドアだ。パイロットと整備員のすべてのやり取りが終わった後に、コネクターを外してドアを閉める。

すべての準備が終わり、パイロットからチョークアウトのサイン(「車止めを外せ」の意味。両手の親指を外側に向ける)を受けて、チョークアウトしタクシーアウト。アラートハンガー(格納庫)はランウェイエンドの直ぐ脇なので、滑走路までの到達は早い。

両手のOKサインを外側に向けて「チョークアウト」のサインを出すF-15パイロット。細かくはパイロットが整備員チーフに出し、それを確認したチーフが各機の整備員に同じサインを出して、車止めが外される。この手信号は海上自衛隊や陸上自衛隊でも同じ(Photo:航空自衛隊小松基地)

なお、ランウェイは滑走路のことで、駐機場(エプロン)と滑走路を結ぶ通路をタクシーウェイと呼ぶ。ランウェイエンドは、タクシーウェイとランウェイを結ぶ待機エリアのことを指す。

滑走路手前で停止することなく滑走路に侵入し、そのまま離陸滑走して薄暗くなった中をアフターバーナー(F-15の場合はオグメンター)の炎を曳きながら対領空侵犯措置の任務に飛び立っていった。

脚注

  1. アキュームレータ……蓄圧器。液体の圧力(エネルギー)を蓄えておき、必要に応じてを放出するための機器。電気でいう充電式バッテリーのようなもの

3件のコメント

日本の空の守り、スクランブルがどのように維持されているか、貴重な実態を知ることができました。戦闘機を万全に整えることの大変さは想像以上で、恐れ入りました。

コメントありがとうございます。
引き続き面白いと思ってもらえる記事をお届けできればと思います。

お疲れ様です。
私は2→7と勤務していたAPGでした。
2の頃は203、7の頃はdockです。

記事を読み、懐かしさが込み上げております。
これからも、良い記事を宜しくお願い致します。

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ABOUT US

渡辺悟志元航空機整備員(航空自衛隊)、イラストレーター
(わたなべ・さとし)
F-15J/DJ、F-4EJの航空機整備員として2002年まで航空自衛隊第7航空団飛行群に22年間勤務し、機付長から同乗検査員、フライトチーフまでを歴任。整備経験のある機種はF-104J、F-1、T-33A、T-2、T-4。
航空機整備の傍、イラストの特技を生かして204飛行隊マークデザインや、パッチ等グッズデザイン、ミスティックイーグルなどの戦技競技会特別塗装、204飛行隊F-15改編10周年塗装などの記念行事特別塗装などを多く手がける。
現在はフリーイラストレーター/グラフィックデザイナーとして、ミリタリー以外のジャンルでも精力的に活動中。