勤務は朝8時から翌日8時まで24時間
スクランブル発進というと特別なことのように聞こえるかも知れないが、これが日常的に24時間繰り返される「アラート待機」である。
格納庫の構造や細かい手順などは各航空団で違う部分もあり、時により改善、変化している。またスクランブルがかかる頻度も時代によって違うし、全国で平均はしていない。あくまで1980〜2000年くらいまでの7空団(第7航空団)204飛行隊での話と認識をお願いしたい。
百里基地(第7航空団)は掩体(えんたい。シェルター)がなく、アラート待機は専用のアラートハンガーにて2機編隊を2個編隊の体制(つまり4機)で待機を行なう。それに加えて情勢や状況により、通常の列線(整備隊の通常勤務者)で待機を増強させる場合もある(これを「増強待機」と呼ぶ)。休日の場合は待機要員に呼集がかかる。
待機には「5分待機」と「30分待機」がある
整備の勤務は朝8時から翌日の8時までで完全な24時間待機である。待機勤務中はここから離れることはなく、食事も隊員食堂から3食運ばれてくるものを待機室で食べることになる。待機室は浴室やベッドもあり、必要最小限の生活はできるように設備が整っているので不便はないが、24時間拘束され緊張感を持続させるのはなかなかストレスフルではある。
何事もなければ、朝の交代前に「30分待機の2機」に対して飛行前点検を行ない、プリタクシーチェック1後に燃料補給をして交代者(次のアラート勤務者のこと)に引き継ぐ。そして5分待機を交代した後に、残りの2機(先ほどまで5分待機だった機体)の飛行前点検とプリタクシーチェックを行なうという手順が定時の作業になる。
ちょっとややこしいかもしれないので補足すると、点検の最中にスクランブルがかかるかもしれないため、5分待機状態の機体(Aとする)を点検するためには、一度30分待機にする必要がある。そのため、30分待機だった機体(B)を5分待機に繰り上げて緊急のスクランブルに備えた後に、Aを30分待機にして飛行前点検とプリタクシーチェックを行なうことになる。
なお、数日機体を動かすことなく過ぎた場合は、タイヤの変形防止のためにプリタクシー後に格納庫を1周する程度のタクシーを行なうこともあり、また飛行訓練や整備の都合による機体の入れ替えなどもイレギュラーで行なわれる。もちろんスクランブルがかかればその限りではない。
日本の空の守り、スクランブルがどのように維持されているか、貴重な実態を知ることができました。戦闘機を万全に整えることの大変さは想像以上で、恐れ入りました。
コメントありがとうございます。
引き続き面白いと思ってもらえる記事をお届けできればと思います。
お疲れ様です。
私は2→7と勤務していたAPGでした。
2の頃は203、7の頃はdockです。
記事を読み、懐かしさが込み上げております。
これからも、良い記事を宜しくお願い致します。
コメントありがとうございます!