第1回 第6世代戦闘機は無人機か? 有人機か?──有人機の補佐役から競合相手へ

有人戦闘機は無人戦闘機に勝てない

無人機については、2020年のイーロン・マスクの発言が話題になった。航空宇宙会社「スペースX」と電気自動車会社「テスラ」のCEO(最高経営責任者)であるマスクは、極めて著名な人物であり発言の影響力も大きい。

マスクは2020年2月29日、Twitterへ次のように書き込んだ。「人間によって遠隔操作されるが、自律能力で運動性が補われた無人戦闘機に対してF-35は勝ち目がない」

米国の実業家、エンジニアであるイーロン・マスクが2020年2月29日に行なったTwitterの書き込み(Twitterより。右上アイコンのクリックでTwitterへ移動)

 

マスクは、同年2月にフロリダ州での米空軍主催の会合に参加している。会合では将来の戦闘機がどうなるかが話し合われた。そこでマスクは次のように話したという。「戦闘機の時代は終わった」「ドローンの戦争が未来の姿です。それは私が望む未来ではないが、ただ未来はそうなります」

マスクが発言したとき、会場には聴衆として数百人あるいはおそらく千人以上の戦闘機パイロットがいて、「目立って静かになり、やがてぶつぶつと不平を呟きはじめた」と「FlightGlobal」(2020年2月29日付)は書いている。

ここで注意すべきなのは、マスクはF-35の競合相手として、無人機(ドローン)を想定しているところである。

無人戦闘機は「技術的にまだまだ」という意見

マスクに対しては、複数の米空軍関係者が違った意見を述べている。

米航空戦闘軍団司令官のジェームズ・ホームズ大将も、マスクの発言について尋ねられている。米空軍はいつの日か、ほぼ完全に戦闘航空機をドローンに変更するかもしれないが、現在の人工知能技術は戦闘機に乗る人間のパイロットはもちろん、未知の情報に対応するのにも十分熟成していない、とホームズ大将は答えている。

さらにホームズ大将は「これから長い期間、米空軍には依然として有人の戦闘機や爆撃機が必要になるだろう」としている。(「Defense News」2020年3月4日付)

湾岸戦争の航空作戦において重要な役割を担い、現在は米空軍協会ミッチェル研究所の所長であるディビッド・デプチューラ中将(退役)は、マスクの発言があったすぐ後で、「Forbes」(2020年3月2日付)に反論を掲載している。

デプチューラは、二次元の自動運転でさえマスクの予言は外れていると指摘し、2019年にもテスラの自動運転車両3台が衝突事故を起こし、死者が出ていると書いている。車の自動運転でさえまだ成熟しておらず、三次元を360度で認識しなければならない戦闘機パイロットの能力は、自律ドローンではまだ再現できないという。

 

2021年2月25日、米空軍参謀総長チャールズ・Q・ブラウンJr.大将も、「F-35は、米空軍戦闘機戦力の土台(cornerstone)である」と米空軍協会のバーチャル(オンライン会議)航空宇宙戦シンポジウムの記者会見で語っている。

(「Air Force Magazine」2021年2月25日付)

チャールズ・Q・ブラウンJr.米空軍参謀総長の発言を受けのロッキード・マーティン社のツイート。維持費などの問題からF-35計画を問題視するメディアの記事へ釘を刺す形で発言したとされる(Lockheed Martin社のTwitterアカウント「F-35 Lightning II」より。右上ロゴをクリックでTwitterへ移動)

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