DARPAによる無人戦闘機の研究
DARPA(米国防高等研究計画局)は空中でのドッグファイトを行なえる人工知能の開発のための新規構想「ACE(Air Combat Evolution:航空戦進化)計画」を立ち上げている。しかし、ACE計画が扱うのは完全自立型の無人機ではない。
この計画では、主に無人機から比較的近い距離にいる有人機に乗る人間が、無人機を監督することが想定されている。つまりACE計画は、有人機と共に戦う無人機ウィングマンを開発することを目的としている。
話題を呼んだ「AI vs 人間の模擬空戦」
2020年8月にはDARPAによってアルファ・ドッグファイト競技会が行なわれた。これは、一般にドッグファイトとして知られているWVR(視程内)で、最新のアルゴリズムを使った無人機の運動能力を実証しようとしたものだった。
競技は、シミュレーション環境内で3日間行なわれ、ヘロンシステムズ社の人工知能が、ロッキード・マーティン社を含む他の7社のものを破った。
ヘロンシステムズ社の人工知能はその後、人間と対戦している。対戦したのは、米空軍のF-16のベテランパイロットで、シミュレーターに座りバーチャルリアリティを表示するヘルメットを被って、シミュレーション環境で5ラウンドのドッグファイトを行なっている。このとき人工知能が人間のパイロットに、5対0で圧勝している。
「人間 vs 機械の公開試合では、この限られた環境内で、人工知能が素晴らしいドッグファイトの技量を見せ、常に人間のパイロットを打ち負かした」とDARPAの戦略技術室(STO:Strategic Technology Office)のプログラム・マネージャー、ダン・ジャボセク大佐が話している。1
人工知能が人間の戦闘機パイロットに勝利したのはこれが初めてではない。2016年にも「アルファ」と呼ばれる人工知能が教官パイロットに勝利している。
差し当たり有人戦闘機の方が有利なようですが、将来、間違いなく無人戦闘機の性能は向上すると思いますが、もし有人戦闘機のパイロットが相手にするのは無人戦闘機だけとなったったら、パイロットはやる気をなくしませんか?