無人機は、人間にはまだまだ敵わない
これらは、実戦においても、すでに人工知能が単独で人間のパイロットに勝利できることを意味しているのだろうか? まず、ジャボセク大佐が「限られた環境内で」と言っていることには注意する必要がある。実際のところ、現在、対人の実戦において、無人航空機は単独でどれくらいの能力があると期待されているのだろう?
2020年12月に、米空軍の次世代戦闘機調達計画を主導していたウィル・ローパー空軍次官補は次のように述べている。「そのようなすべての人工知能は単独飛行をした場合、対人工知能技術に脆弱になる」(「Breaking Defense」2020年12月18日付)
無人機は単独飛行をすれば、人間にはまだまだ敵わないと考えられているのだ。ローパーによれば、XQ-58Aのような低コストの無人機は、AIにより非常に簡単に単独で飛行できるようになるかもしれないが、単独で有人機と戦うのは不利だとしている。
もちろん、特定の分野では人工知能は人間を圧倒している。たとえばチェスでは、人工知能はグランドマスターを打ち負かすまでにきている。しかし、これはチェスの駒運びという、現実世界でできることに比べれば極狭い範囲でしか行動が選択できない世界の話である。
実際の戦争ならほとんどなんでもありだ。相手を打ち破るために、さまざまな無限の選択肢がある。ローパーによれば、人工知能が対人工知能技術に弱いのは、現在の人工知能が規定のルールを持つチェスや囲碁のようなゲームに基づいているからだという。
差し当たり有人戦闘機の方が有利なようですが、将来、間違いなく無人戦闘機の性能は向上すると思いますが、もし有人戦闘機のパイロットが相手にするのは無人戦闘機だけとなったったら、パイロットはやる気をなくしませんか?