無人機を管理するオペレーターが同乗
現在、米海軍も空軍と親密に協力して、第6世代戦闘機の開発に取り組んでいるところだ。2020年10月には、米海軍作戦部長マイケル・ギルディ大将は、第6世代機の取り組みには「厳密な分析」が必要で、まだ海軍も空軍も将来の道筋を決めている最中だ、としている。
ギルディ大将は言う。「NGADが単座になり、敵戦闘機に向かっていって、実際にドッグファイトを行なったり、センサーや兵器を同じ航空機に搭載しなければならないと考える理由はほとんどない」(「USNI News」2020年10月13日付)
大型の航空機になれば、複数の人間が乗れるように設計することも簡単だろう。その場合、実際に航空機を操縦するパイロット以外に、センサーや兵器を搭載した無人機ウイングマンを管制する専門のオペレーターが同乗する可能性が高い。
前掲の議会調査局のレポートにおいてもNGAD計画では、数多くの補完システムがあることが示唆されている。それらには、有人機、無人機、オプションで人間が乗れるタイプ、もしくはサイバー戦・電子戦用といったような形態をとる可能性があるとしている。それらのいくらかは、従来の「戦闘機」には似てないかもしれない。
NGAD計画は、特定の第6世代戦闘機といったような1機種を対象としたものではない。次世代機で重視されている能力の一つが、互いの相互接続性だ。
戦場には機体に装備されているものとは別の場所にセンサーが存在し、それらすべてが高速で接続される。このような特徴は次世代機の鍵となるものだ。
【上図の解説】
赤い丸は、相手側から探知・追尾されると想定した距離である。ステルス機同士の戦いでは、レーダーよりも赤外線センサーのほうが遠くから敵を見つけられる可能性がある。複数のセンサーで得られたデータを利用することで、武器誘導精度が得られる可能性を想定している。
このシナリオでは、左側の戦闘機の形で描かれている陣営は、超音速巡航をしていると仮定している。そのため、高速飛行による空気の圧縮で機首部が高温になっている。これにより相手側から赤外線センサーで、より遠距離から探知・追尾が可能になる。左側の方が赤い丸が大きく描かれている(より遠い距離から探知されるとされている)のはこのためである。
ただし、NGADの中心機種はおそらく超音速機である。2016年には、アメリカ空軍航空戦闘軍団の制空機能チームの副チーフだったスターリング・アンダーソンが「次世代戦闘機は爆撃機のように大きくはならないだろう」と話している。
なぜなら、爆撃機のような大きさにすると、機体価格が極めて高額になり、十分に調達できないからだとされる(正確な予想は不可能だが、大型爆撃機のようなサイズにはならないものの、広大な太平洋戦域に対応するため、燃料を多く積むことができるように従来の一般的な戦闘機よりは大きくなる可能性がある)。
一方で2020年9月には、ブラウン空軍参謀総長が、無人機の発射母機としてB-21が制空戦に使われる可能性があると答えていた。
連載「米国の軍高官・専門家から見る 第6世代戦闘機の行方」第4回─終─
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