本連載は、「現代戦車はどう戦うか」といった部分にのみ特化して解説していくものです。
アメリカ陸軍などで公開されている資料などを基に、内部はどうなっているか、砲弾をどう装填して、どう照準を付けるか、どのような防御戦術を採るのかといった、戦い方に関するディープな内容を余すことなく紹介していきたいと思います。
早く戦車の操縦室や戦術を読みたい!という読者もいると思いますが、まず最初は戦車とはどのようなものかを理解してもらう必要があるために、その構造から解説していきます。
戦闘教範を参考にした仮想戦闘
薄暗く朝焼けの立ち込める中、敵の部隊は戦車を先頭に、谷の低地へ向かって斜面を降りてくる。10両の戦車がおよそ100メートル間隔で、一列縦隊で進んでいる。その後方にはさらに10両のBMP歩兵戦闘車を中心とする後続集団が続く。
これを迎え撃つべく、我がC中隊のM1A1エイブラムス戦車が反対斜面に窪地を利用して遮蔽している。主砲口を窪地からのぞかせたハルダウンの体勢である。
「T-72とBMPが近づいてきますね」
GPS(Gunner’s Primary Sight:砲手用主照準器)のアイピースを覗いていた砲手が叫ぶ。GPSの熱映像装置を通して、近づいてくる戦車が車体後部上面から排気煙を上げているのがくっきり浮かび上がっている。T-72だ。
中隊長は、敵の戦闘部隊が谷の低地に下りたところで、後続部隊と隔離して戦力を分断し、おもいきり先頭部隊を叩き、敵をパニックに落とし入れるつもりだった。
しかし、1個中隊(中隊本部を含めて14両のM1A1で構成)だけで、これだけの敵をやるには荷が重い。大隊長に攻撃ヘリを要請したが、出払っていてすぐにこっちへ回す分がないという。しかし大隊長は砲兵隊の支援を約束してくれた。
分かりやすくて検索に対するこたえができていてすごくいいと思いました。