第8回 実際の使用方法と残された問題点──ジャイロ式照準器3/3

第6回第7回でジャイロ式照準器の原理を解説してきましたが、今回は実際の空戦でどのように使用するかを紹介します。

同照準器はそれまでの照準の問題点を解決してくれる優れた装置でしたが、そのメカニズムゆえに測距(敵機までの距離を合わせること)に関しては、非常にシビアな面をもっていました。後半ではその点についても解説します。

ジャイロ式照準器の使い方

今回は、偏差を自動的に示してくれるジャイロ式照準器の実際の使い方を見ていきます。ただし、基本的に連合軍側の英・米国で使われたものの話となります。

すでに見たようにジャイロ式照準器の原理は、

  1. 最初に敵の位置をジャイロスコープによりマークする。
  2. そのまま旋回に入って、弾丸到達時間の分だけ照準点を動かす。
  3. そこで記録された両者の間隔が偏差を示すので、これを維持して未来位置を求める

という形になります。

[図1]Mk IIdジャイロ式照準器を解説したイギリス空軍の映像。敵機をマークするレティクルと(敵機の)未来位置を定めるレティクルの二つがある(Image:Public Domain/画像クリックでYouTube「AWM Collection」の動画へ移動)

では実際に、どういった形で命中に必要な「偏差」、すなわち敵機の未来位置を示すのか。

これは偏差の間隔を示す二つのレティクルを反射ガラスに投影することで解決しました。このためレティクルの投影装置が二つあり、さらに横幅の広い反射ガラスが使われているわけです。

従来の光学照準器は、一つの光源と平行光レンズセットを持ち、これを使って縦長の反射ガラスに一つの固定レティクルを投影していました。[図2]

[図2]従来の光学照準器(Photo:夕撃旅団)
[図3]K-14ジャイロ式照準器のA型(Image:P-51のフライトマニュアルより)

それに対してジャイロ式照準器では[図3]のように二つの投影部があり、それにあわせて反射ガラスも横長になっています。これは一つが従来の固定式レティクルを、もう一つはジャイロスコープに連動して動く可動レティクルを投影するために使われます(厳密には後者が従来の方向に固定されて機体が動くのだが)。

夕撃旅団・著
『アメリカ空軍史から見た F-22への道』 上下巻

究極の制空戦闘機F-22は、どのように生み出されたのか。その背景を、アメリカ空軍の成り立ちまで遡って考察していく1冊

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

ABOUT US

夕撃旅団ウェブサイト管理人
(ゆうげきりょだん)
管理人アナーキャが主催するウェブサイト。興味が向いた事柄を可能な限り徹底的に調べ上げて掲載している。
著書に『ドイツ電撃戦に学ぶ OODAループ「超」入門』『アメリカ空軍史から見た F-22への道』上下巻(共にパンダ・パブリッシング)がある。