1 どのように照準をつける?

銃の常識・非常識
映画や漫画、ゲームに銃はたくさん出てきますが、銃社会のアメリカと違って、日本人の多くにとっては銃は詳しく知らない存在ではないでしょうか。
この連載は、「走りながら本当にそんなに当たるのか?」や「どうして撃つ前にガチャと重鉄を戻すのか?」といった、日本人がよく知らなかったり勘違いしている銃についての知識を紹介していくものです。
内容を理解しやすいように、項目ごとの要旨を40字でまとめています。
あかぎ
「目―照門―照星―標的」を一直線に結ぶ。
風や重力の影響も考慮すべし

狙うときは「照星」と「照門」を使う

当然の話だが、銃は狙って撃つものだ。そのために、銃には簡単な照準器が備わっている。これを英語でアイアンサイトと呼ぶが、必ずしも金属製とは限らない。

アイアンサイトは、照星(フロントサイト)と照門(リアサイト)からなり、これでワンセットの照準器となる。銃身上の銃口に近い部分の突起が照星で、その後ろ手元方向に位置する突起が照門である。

これらは拳銃だけでなく、ライフルやマシンガンにも付いているが、散弾を使用するショットガンには照門は付いていない。

9ミリ拳銃のアイアンサイト。銃上部の手前に見えるV字が照門(リアサイト)

正しい照準方法とは

照準をつけるには、まず銃の照門を覗いて、その中心に照星の頂点が位置するように合わせる。これを自衛隊では「正しい見出し」と言う。

次に、標的の中心に照星の頂点を合わせる。これを「正しい狙い」と呼ぶ。
正しい見出しを維持した状態で正しい狙いを行なえば、「目―照門―照星―標的」が一直線に結ばれる。これが「正しい照準」だ。

しかし、弾着が右にズレるなど銃固有の癖もあるし、そもそも発射されたタマは水平には飛ばない。地球の引力によって、弾道はわずかに放物線を描く。

また、初速や弾頭の重量にもよるが、横風にも影響される。実際には、銃を狙った場所に命中させるのはなかなか難しいものなのだ。

標的と目の間に、照門と照星が入るようにするのが正しい照準方法となる(Illustration:Akifumi Nojima)

本記事は2015年に発行された書籍『40文字でわかる 銃の常識・非常識』(あかぎひろゆき・著)からの抜粋になります。

あかぎひろゆき・著
40文字でわかる 銃の常識・非常識』

元陸上自衛官が、銃にまつわる素朴な疑問を分かりやすく解説!

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ABOUT US
あかぎひろゆき元陸上自衛官、予備自衛官、軍事ライター

昭和60年(1985)3月、陸上自衛隊第5普通科連隊 新隊員教育隊(青森)に入隊。東北方面飛行隊にて観測ヘリコプターOH-6および連絡偵察機LR-1の整備、武器係陸曹として小火器の整備などに携わる。その後、武器補給処航空部(霞ヶ浦)、補給統制本部(十条)、関東補給処航空部(霞ヶ浦)に勤務し、平成15年に2等陸曹で依願退職。
翌年に予備自衛官となり、平成19~25年まで第31普通科連隊の即応予備自衛官、平成29年~令和2年まで第301弾薬中隊の即応予備自衛官(任期満了・定年)。現在は、予備自衛官として召集訓練に励む。また、つくば戦略研究所(所長:かの よしのり)にて、主任研究員も務めている。
著書に『40文字でわかる 銃の常識・非常識』『戦車男入門』『『自衛隊装備の裏話』(小社)、『世界最強兵器TOP145』(遊タイム出版)、『歩兵装備完全ファイル』『自衛隊戦力分析』(笠倉出版)、『世界の最強特殊部TOP45』(ユナイテッド・ブックス)があるほか、雑誌『ストライク アンド タクティカルマガジン』(SATマガジン出版)に寄稿。