3 拳銃はどう構える?

銃の常識・非常識

あかぎ
両手の正面構えと半身構え、片手撃ちがある。
上から順に命中率が高く、被弾確率も高い

今の主流は、両手で正面に構える

拳銃の構え方には「両手保持」はもちろん、「片手保持」もある。というか、そもそも拳銃は片手で撃てるように作られた銃だ。

「片手保持」には、2つのスタイルがある。

「ポイントショルダー」は、フリーピストルなどの射撃競技向きで、冷戦時代の軍隊はこの構え方をした。昔は自衛隊や米軍などでも、拳銃の射撃姿勢と言えば、このスタイルで教育されたものだった。

まず、両足を肩幅より少し開いて立ち、銃を持った方の腕を真っ直ぐ伸ばす。反対の手は、軽く腰に当てる(軍隊では、心臓付近に位置させる)。

一方、「クラウチング」は、猫背なほど前傾で、かつ中腰の射撃姿勢だ。歩行中に突然敵が現出し、数メートルの至近距離で撃つときに用いる。至近距離で素早く撃つことを重視しているから、命中精度が犠牲となるが、これは仕方がないだろう。

片手撃ちの姿勢(Illustration:Akifumi Nojima)

 

両手保持には、「アイソセレス」と「ウィーバー」がある。

アイソセレスは銃を正面に向けて構え、両足を肩幅程度に開く。この姿勢を上から見ると、身体と腕が二等辺三角形(アイソセレス)を成すので、アイソセレスと呼ぶ。

現在の警察や軍隊、そして自衛隊でも、主流となっている撃ち方だ。上半身を支点にして、左右どちらの敵に対しても、素早く銃を向けることができる。

また、ウィーバーは半身になり、銃を持つ腕は伸ばし、反対の腕を曲げて銃に添える撃ち方だ。このためアイソセレスとは逆に、左右に突然現れた敵を素早く狙って撃つ、ということは難しい。

しかし、半身になっているため、正面から撃たれたときに被弾する確率はアイソセレスよりも低くなり、物陰などに身を隠しながらも撃てるのが利点だ。玄人っぽく見えるため、映画などではこの構えをすることが多い。

肝心の命中率は、片手保持よりは両手保持の方がよく、大差はないがウィーバーよりアイソセレスの方が多少は命中させやすいと言えるだろう。

両手撃ちの姿勢(Illustration:Akifumi Nojima)

伏せ撃ちは命中率が上がるが、動きづらい

今まで述べた構え方は、クラウチングこそ中腰だが、いずれも立姿(スタンディング)である。

他に基本的な射撃姿勢には、片方の膝を突く「膝撃ち=膝射(ニーリング)」と、腹這いになって撃つ「伏せ撃ち」がある。

伏せ撃ちは安定した姿勢である分、すべての構えの中でも一番命中率が期待でき、かつ地面に伏せていて正面面積が小さいため敵弾が命中しにくい姿勢だと言える。

しかし当然伏せているため、一発撃った後に立ち上がり、遮蔽物へ移動するときに時間がかかったり、左右の敵に対して素早く銃を向けることができないなどの欠点もある。

本記事は2015年に発行された書籍『40文字でわかる 銃の常識・非常識』(あかぎひろゆき・著)からの抜粋になります。

あかぎひろゆき・著
40文字でわかる 銃の常識・非常識』

元陸上自衛官が、銃にまつわる素朴な疑問を分かりやすく解説!

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あかぎひろゆき元陸上自衛官、予備自衛官、軍事ライター

昭和60年(1985)3月、陸上自衛隊第5普通科連隊 新隊員教育隊(青森)に入隊。東北方面飛行隊にて観測ヘリコプターOH-6および連絡偵察機LR-1の整備、武器係陸曹として小火器の整備などに携わる。その後、武器補給処航空部(霞ヶ浦)、補給統制本部(十条)、関東補給処航空部(霞ヶ浦)に勤務し、平成15年に2等陸曹で依願退職。
翌年に予備自衛官となり、平成19~25年まで第31普通科連隊の即応予備自衛官、平成29年~令和2年まで第301弾薬中隊の即応予備自衛官(任期満了・定年)。現在は、予備自衛官として召集訓練に励む。また、つくば戦略研究所(所長:かの よしのり)にて、主任研究員も務めている。
著書に『40文字でわかる 銃の常識・非常識』『戦車男入門』『『自衛隊装備の裏話』(小社)、『世界最強兵器TOP145』(遊タイム出版)、『歩兵装備完全ファイル』『自衛隊戦力分析』(笠倉出版)、『世界の最強特殊部TOP45』(ユナイテッド・ブックス)があるほか、雑誌『ストライク アンド タクティカルマガジン』(SATマガジン出版)に寄稿。