第4回 次世代戦闘機の戦い方──「マルチドメイン・バトル」「モザイク戦」とは何か

今回は、米空軍が「未来の戦闘がどのようなものになる」と予測しているかを検証する。
その中でも特に、現在の戦い方(機体の高性能さに拠って戦う)に置き換えられていくだろうと米軍が考えている「マルチドメイン・バトル」と「モザイク戦」について紹介する。

マルチドメイン・バトルとモザイク戦

F-35戦闘機やB-21爆撃機、フォード級原子力空母に代表されるような、これまで米軍で採用されてきた多くのプラットフォームは非常に多機能で高性能である代わりに、高コストだった。このようなプラットフォームを補完、もしくは置き換えるアプローチとして現在の米軍で取り組まれている2つの主要なコンセプトがある。

その一つが「マルチドメイン・バトル」で、もう一つが「モザイク戦」である。

DARPAが構想するこれからの戦闘イメージ(Image:DARPA)



マルチドメイン・バトル

マルチドメイン・バトル(Multi-Domain Battle)は、陸、海、空、宇宙、サイバー(および電磁スペクトラム)の領域(ドメイン)を従来よりも密接に連携させて戦おうとするコンセプトだ。米国はシームレスな情報収集・警戒監視・偵察能力を構築しようとしている。

それらは有人・無人を合わせた複数種類のプラットフォームやセンサーだけではない。仮想空間からデータを集めるためのサイバーにおけるISR(情報収集・警戒監視・偵察)システムや、ISR、ナビゲーション能力、通信を支援する多数の人工衛星群も含まれるだろう。

マルチドメイン・バトルのイメージ。空軍だけでなく、陸軍、海軍、宇宙軍、サイバー軍、兵器化されたソーシャルメディアなどの戦力と密接に連携をとって戦う(Image:DoD/Arin Burgess, Military Review)

米国は、クラウドコンピューティングや、その他の情報技術などを使用して膨大なデータを収集し、素早く意思決定者に提供しようとしている。「最も重要な兵器は情報である」と米航空機動軍団司令官ジャクリーン・ヴァン・オヴォスト空軍大将は発言する。「どこに脅威がいるか、リアルタイムで情報はアップデートされる」

収集されたデータは、人工知能の助けを借りて人間が意思決定の判断ができる情報にまで迅速に変換される。そうして、目まぐるしく変化する戦場において、敵が対応できない速度で意思決定を次々に行ないつづけ、戦いの速度で圧倒しようとしている。

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