第4回 砲弾の威力の上げるにはどうすればよいか──戦車砲のメカニズム(2/3)

前回は戦車砲の構造について解説した。
今回はその戦車砲の威力を向上させるために、何を変えることが重要か、効率的かを紹介していきたい。

戦車砲の能力──どうすれば威力を上げられるか

戦車の装甲と戦車砲には密接な関係がある。装甲が厚くなれば、これを撃ち抜くために戦車砲の威力は当然、強くなければならず、砲の能力向上が図られる。そして砲が強力になれば、装甲はさらに厚くなっていく。火砲の威力は口径や砲身によって影響を受けると前回述べたのはこういうことだ。

戦車がその揺籃期のように歩兵支援用の火器プラットホームとして使用された場合には、想定する相手は戦車のみならずさまざまな目標が含まれていた。このため、搭載される砲はどちらかというと装甲貫通能力を重視するよりも、榴弾砲のように殺傷能力や破壊力が重視されている。

しかし戦車が発達した結果、戦車同士の戦闘が行なわれるようになり、戦車砲の装甲貫通力が重要視されることになった。

この貫通力を強くするためには、まず発射時の弾体の初速度が高くなければならない。初速度とは弾体が砲口から撃ち出された瞬間の速度のことで、これを速くするには砲身を長くすることが必要となる。同口径の砲でも、砲身の長いものの方が初速は速くなる。

M1戦車が射撃を行なった瞬間(Photo:U.S. Army)

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坂本明軍事ライター、イラストレーター
(さかもと・あきら)
長野県出身。東京理科大学卒業。
雑誌「航空ファン」編集部を経て、フリーランスのライター&イラストレーターとして活躍。
著書に『最強 世界の歩兵装備パーフェクトガイド』『最強 世界のジェット戦闘機図鑑』『最強 自衛隊図鑑』『世界の軍装図鑑』(学研プラス)など多数。
1/28に最新刊『最強 世界の空母・艦載機図鑑』(ワン・パブリッシング)を出版。