第6回 本当に「ステルス戦闘機」と呼べるのか?──J-20の性能検証(1)

前回までJ-20の開発背景や中心的な設計者、試作機がどのように開発されたかについて紹介してきた。
今回からはいよいよ、J-20の戦闘機としての力はどれほどかを推測していきたい。
「J-20はステルス戦闘機としてはまだまだ」と言われることも多いが、まず最初にステルス性能について検証いていく。

顧誦芬メモから見る「新世代戦闘機の目指すべき姿」

顧誦芬(グー・ソンフェン)。彼は1950年代から瀋陽航空機製造公司(以下、瀋陽)において、多くの航空機の開発に関わり、1980年代にはJ-8Ⅱの総設計師を務めた。戦闘機のみならず、大型機の製造技術などについても指導を行なった実績を持ち、中国を代表する航空機設計師の一人である。

中国中央テレビ(CCTV)の取材を受ける顧誦芬。1930年江蘇省生まれで、1954年以来、瀋陽航空機において練習機の空力設計に携わったことを皮切りに、1981年からはJ-8Ⅱ総設計師を務めた。民間航空機を含む多くの航空機の開発に従事した(Image:YouTube「CCTV財経」チャンネルからのスクリーンショット。画像クリックでYouTubeへ移動)

先日、彼が新世代戦闘機開発に際して作成したとされるメモを入手することができた。タイトルは「中国の戦闘機開発研究」とされ、主管部署と推定される項には「戦闘機開発専門論証チーム」とある。

日付は「2003年3月」。2003年は新世代戦闘機のコンペが大詰めを迎えた時期であり、瀋陽および成都航空機製造公司(以下、成都)の両メーカーは設計案の提出を控えている頃である。

メモの内容は、中国を取り巻く航空戦力の情勢を踏まえ、新世代戦闘機開発の必要性を明確にするとともに、米国などの戦闘機の研究結果から、中国の新世代戦闘機(メモ作成の時点においては瀋陽と成都が設計案を作成中であった)が具備すべき性能などを論証したものである。

作成された時期や内容から、筆者はこのメモが空軍からの要求などを踏まえ書かれたものと推定している。今回から、このメモの内容をもとに、J-20の性能などについて述べていきたい。

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薗田浩毅元自衛隊情報専門官、軍事ライター、ネイリスト
(そのだ・ひろき)
1987年4月、航空自衛隊へ入隊(新隊員。現在の自衛官候補生)。所要の教育訓練の後、美保通信所等で勤務。 3等空曹へ昇任後、陸上自衛隊調査学校(現小平学校)に入校し、中国語を習得。
1997年に幹部候補生となり、幹部任官後は電子飛行測定隊にてYS-11EB型機のクルーや、防衛省情報本部にて情報専門官を務める。その他、空自作戦情報隊、航空支援集団司令部、西部および中部航空方面隊司令部にて勤務。2018年、退官。