前回までJ-20の開発背景や中心的な設計者、試作機がどのように開発されたかについて紹介してきた。
今回からはいよいよ、J-20の戦闘機としての力はどれほどかを推測していきたい。
「J-20はステルス戦闘機としてはまだまだ」と言われることも多いが、まず最初にステルス性能について検証いていく。
今回からはいよいよ、J-20の戦闘機としての力はどれほどかを推測していきたい。
「J-20はステルス戦闘機としてはまだまだ」と言われることも多いが、まず最初にステルス性能について検証いていく。
顧誦芬メモから見る「新世代戦闘機の目指すべき姿」
顧誦芬(グー・ソンフェン)。彼は1950年代から瀋陽航空機製造公司(以下、瀋陽)において、多くの航空機の開発に関わり、1980年代にはJ-8Ⅱの総設計師を務めた。戦闘機のみならず、大型機の製造技術などについても指導を行なった実績を持ち、中国を代表する航空機設計師の一人である。
先日、彼が新世代戦闘機開発に際して作成したとされるメモを入手することができた。タイトルは「中国の戦闘機開発研究」とされ、主管部署と推定される項には「戦闘機開発専門論証チーム」とある。
日付は「2003年3月」。2003年は新世代戦闘機のコンペが大詰めを迎えた時期であり、瀋陽および成都航空機製造公司(以下、成都)の両メーカーは設計案の提出を控えている頃である。
メモの内容は、中国を取り巻く航空戦力の情勢を踏まえ、新世代戦闘機開発の必要性を明確にするとともに、米国などの戦闘機の研究結果から、中国の新世代戦闘機(メモ作成の時点においては瀋陽と成都が設計案を作成中であった)が具備すべき性能などを論証したものである。
作成された時期や内容から、筆者はこのメモが空軍からの要求などを踏まえ書かれたものと推定している。今回から、このメモの内容をもとに、J-20の性能などについて述べていきたい。
コメントを残す