今回は、対レーダー対策として重要となるステルス材料について検証していく。
ステルス技術に関してはアメリカがリードする立場で、ロシアをはじめとする諸外国はそれに追随する関係であり、中国も猿真似やスパイ行為を揶揄されていた時代もあった。しかし、ついに独自の技術を開発・発展させる段階に移行しつつあるのかもしれない……。
J-20のステルス性能②──ステルス材料
対レーダー・ステルス対策のためのもう一方の技術は、ステルス材料(塗料1や薄膜など)である。
ステルス戦闘機が直面する脅威は、地上やAWACSなどのレーダーからのメートル波レーダー(対空目標捜索用。ステルス機に対する探知能力にやや優れる)と、空中の敵戦闘機の火器管制レーダーからのミリ波レーダー(精度が高い)のほか、地上と空中からのIRST(赤外線捜索追尾装置)もある。
そのなかでも最大の脅威となるのは、敵戦闘機機のミリ波レーダーであろう。
ステルス機に使用する塗料は、金属粉やカーボンを混入したシリコンカーバイド2からなるものとされており、対応すべき周波数帯ごとに混合する物質の材質や大きさを変更しなければならない。対応する周波数帯の幅が広ければ、その分の塗装を重ねる必要があるため、塗膜も厚くなってしまう。

通常の航空機の塗膜は下地のプライマー塗装を含めても0.1〜0.2ミリだが、ステルス塗料の場合は2ミリを超えるとも言われる。当然、相当な重量となり、混合物が多いため定着性(プライマー塗装の上に塗装する際の食いつき)も通常の塗料と比べると弱い。
そのため、飛行中において高温や振動にさらされる戦闘機の場合、剥離してしまうことすらある。最近、SNSでF-22の塗装の痛みが話題になったが、その原因がステルス塗料特有の質や塗装の厚みである。
It’s hardly amphibious and seems to suffer the same paint ills as the F-22 and F-35… pic.twitter.com/F6AyESAwyG
— gpovanman гпованман (@gpovanman) August 6, 2019
ステルス塗料は、各国とも「秘中の秘」となっており、まして軍において実用化されたものについて具体的なデータは皆無であるが、中国はコソボ紛争の際、1999年3月に撃墜されたF-117の破片を現地人を介して回収したと言われている。これは当然、貴重な技術資料となったことだろう。
1999年3月27日、ユーゴスラビアに於いて旧式ミサイルのSA-3で撃墜されたステルス攻撃機F-117の写真。意外とあっけなく撃墜されました。 pic.twitter.com/uLMRXBmy7I
— 宇賀神遊馬@出戻りモデラー (@CodeUndead) June 25, 2017
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