B-21のエンジンはどうなるか【米空軍のエンジン最新事情2/3】

米空軍のエンジン最新事情
前回は米空軍がF-35の新エンジンを望んでいることを紹介したが、今回は現在開発中の爆撃機B-21について考えていく。
エンジンは短期間で設計して、すぐに生産ラインができるというわけではない。そのため秘密の多いB-21においても、時期やタイミングで推測したり、エンジンから分かることがいくらかある。

F135の派生型がB-21に採用される可能性も?

アメリカ空軍の秘密主義のもと、B-21の具体的な情報はほとんど公開されていないが、2016年にデボラ・ジェームズ空軍長官(当時)が公表した内容によれば、P&W(プラット&ホイットニー)社がノースロップ・グラマンB-21の主要サプライヤーの7社の中の1社に選ばれている。

ジャンボジェット旅客機のように主翼の下にエンジンを吊り下げるような機種と違い、ステルス爆撃機のエンジンは機体の中に包み込むように装備しなければならないため、民間航空機向けの直径の大きなエンジンはふさわしくない。

デザイナーによって加工されたB-21のイメージ(Photo:Northrop Grumman/U.S. Air Force)

またB-21の開発時期からすると、新しいエンジンは間に合わない。そのため、P&W社が生産ラインを維持しているもので候補として挙げられるのは、F100エンジン1とF135エンジンしかない。

現在、B-21はF135の派生型エンジンが2発装備されるとするのが有力である(可能性は低いが、4発説もある)。超音速飛行もできるF-35と違って、B-21は亜音速機だろうと見られている。

おそらく、エンジンは、F135のバイパス比を亜音速飛行に最適化し、アフターバーナーをなくしたものか、もしくはなんらかのかたちで改修したものになるだろう。B-2爆撃機には、GE(ゼネラル・エレクトリック)社のF1102からアフターバーナーのなくした派生型であるF118エンジンが使われている。

 

B-21は2021年12月ごろに初飛行すると、米空軍副参謀総長スティーブン・ウィルソン大将が米空軍協会ミッチェル研究所のイベントで話している(「Air Force Magazine」2019年7月24日付)。この時期から逆算すると、すでに地上でエンジンのテストが行なわれているはずで、そのためのエンジンがすでにP&W社から引き渡されているはずだ。

さらに2021年以内には、P&W社はB-21に装備されて実際に飛行するエンジンを提供することになるだろう。エンジンはカリフォルニア州パームテールにある組み立てラインでB-21に装備される。B-21は100機かそれ以上が生産される予定だ。

B-21の生産数はどうなる?

なお、数多くの研究が、同等の敵との戦いでアメリカ軍に必要な爆撃機の数が220機としており、ウイル・ローパー空軍次官補も220機を目指すとしている。B-1は2036年までに退役、B-2は2032年までに退役が決まっている。

その後、空軍は少なくとも、100機のB-21と75機のB-52を配備しようとしている。足りない爆撃機の数を何で埋めるかについては、現在、意見がわかれているが、例えば次のような意見がある。

  • 他の輸送機を転用してアーセナルプレーンとして使う(米空軍戦闘統合能力局案)
  • 専用のアーセナルプレーンを開発する(米空軍地球規模攻撃軍団司令官案)
  • B-21の調達数を増やす(米空軍協会ミッチェル研究所案)
アーセナルプレーン
米空軍が公開した、輸送機からたくさんの兵器を散布する際のイメージイラスト。「アーセナルプレーン」とはこのように大型機などが遠距離から大量のミサイルを発射するコンセプトを指す。
ちなみに数年前に「アーセナルプレーン」の話題がでたときには、最有力候補がB-1で、他にB-52やF-15などが挙がっていたが、最近はC-17輸送機からパレット輸送システムで巡航ミサイルなどを想定した精密誘導兵器を投下するテストが盛んに行なわれている。
専用機種を新たに調達する案にしても、輸送機か旅客機を改造する説が有力(Illustration:U.S. Air Force)

参考資料
「Aviation Week」2020年6月15-28日、2020年7月27日-8月16日、2020年9月14-27日の各号
「Flight International」2019年8月6日号
「Air International」2019年4月号

脚注

  1. F100エンジン……F-15シリーズやF-16C/Dなどに装備されている
  2. F110……F-14Bや、F-16C/Dなどに使用され、日本もIHIがライセンス生産したF110-IHI-129をF-2が装備している

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