2 照準時に、片目をつむった方がよい?

銃の常識・非常識
あかぎ
一般的には利き目でない方をつむる。
本来は両目を開いて狙うのが理想だが、訓練が必要

片方をつむるのは、狙いやすくするため

前項「1 どのように照準をつける?」でも述べたように、銃の照準は「自分の目」と銃の「照門」、「照星」、さらに「標的」が一直線に結ばれるようにする。

このとき、普通はマスターアイ(利き目)と反対の目(多くの場合は右目)をつむるが、これが非常に疲れる。なぜなら眼球がある生物は、意識的に長時間目を閉じるのが難しいからだ。

ウインクするときは一瞬だけ片方の瞼を閉じるが、照準時は片目をつむりながら、銃の動揺を防ぐために呼吸を止める必要がある。銃が少しでも動揺すれば、発射されたタマが動揺した方向へずれるからだ。

呼吸を止める時間は、照準開始から引鉄を引くまでの間、わずか数秒間である。だが、その間は体内に取り込まれる酸素が不足し、照準に使う利き目の視力は低下する。何発も射撃していると、だんだん目が疲れて、標的に当たらなくなってくる。

片目をつぶって照準を定めるイスラエル兵士(Photo:Israel Defense Forces)

危険な状況では両眼照準が推奨される

そこで、両眼照準といって、両目を開けたまま射撃する方法もある。オリンピックなどの射撃競技では、「目隠し板」を使って利き目と反対の目を隠してしまう。

しかし軍隊では、わざわざ戦場へ目隠し板を持って行けない。また、警戒時に視界を確保する必要もあるから、訓練を重ねて両眼照準ができるようにするしかない。

軍隊や警察では、両眼照準を推奨しているが、必須の照準方法として教育されている訳ではない。だから、最前線で戦う一般歩兵では、まず両眼照準はしないし、できるように訓練されてもいない。

スナイパーや特殊部隊の隊員などを例外とすれば、両眼照準は理想だろうが、慣れないと難しいのだ。

本記事は2015年に発行された書籍『40文字でわかる 銃の常識・非常識』(あかぎひろゆき・著)からの抜粋になります。

あかぎひろゆき・著
40文字でわかる 銃の常識・非常識』

元陸上自衛官が、銃にまつわる素朴な疑問を分かりやすく解説!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

ABOUT US

あかぎひろゆき元陸上自衛官、予備自衛官、軍事ライター

昭和60年(1985)3月、陸上自衛隊第5普通科連隊 新隊員教育隊(青森)に入隊。東北方面飛行隊にて観測ヘリコプターOH-6および連絡偵察機LR-1の整備、武器係陸曹として小火器の整備などに携わる。その後、武器補給処航空部(霞ヶ浦)、補給統制本部(十条)、関東補給処航空部(霞ヶ浦)に勤務し、平成15年に2等陸曹で依願退職。
翌年に予備自衛官となり、平成19~25年まで第31普通科連隊の即応予備自衛官、平成29年~令和2年まで第301弾薬中隊の即応予備自衛官(任期満了・定年)。現在は、予備自衛官として召集訓練に励む。また、つくば戦略研究所(所長:かの よしのり)にて、主任研究員も務めている。
著書に『40文字でわかる 銃の常識・非常識』『戦車男入門』『『自衛隊装備の裏話』(小社)、『世界最強兵器TOP145』(遊タイム出版)、『歩兵装備完全ファイル』『自衛隊戦力分析』(笠倉出版)、『世界の最強特殊部TOP45』(ユナイテッド・ブックス)があるほか、雑誌『ストライク アンド タクティカルマガジン』(SATマガジン出版)に寄稿。