両目を開けたままの照準が可能に
[図2]は第一次世界大戦時のイギリス戦闘機S.E.5aのコクピットです。正面の左側に旧型の円環式、右側に望遠鏡のような形をした最新鋭のアルディス式筒型照準器がそれぞれ載っています。
とりあえずアルディス式がどういった点で優れていたのかを確認すると、以下に2点になります。
(1)筒の延長線上に弾道の集中点が来るように調整しておけば、敵機を筒の中心部に捉えるだけでよい、という極めて単純な照準
(2)平行光レンズ(Collimator lens)が入っているので、筒内の測距用円環と200メートル以上先に居る敵機との両方に、目のピントを合わせることが可能
これにより両目を開けたまま、片方の目で照準器を覗けば敵機と円環を同時にはっきりと見ることができる。[図2]の写真で、アルディス式筒形照準器が真正面ではなく、横にずれた位置に設置されているのはこのため。
このように、円環式が抱えていた2つの問題(照準の大変さとピントの問題)を同時に解決してしまったのでした。
ちなみにアルディス式は望遠鏡のような形状ですが、望遠レンズは入っていません。筒の先に見える物体は等倍、すなわちそのままの大きさで見えます。
両目を開けて照準することが目的の一つなのですから、当たり前といえば当たり前です。
ただし実際は、反射的に目をつぶってしまったり、両目を開けていると今一つ見づらかったりという理由から、通常の望遠鏡のように片目をつぶってしまうパイロットも多かったらしいです。
全ての回を楽しく拝見させて頂いています!
実際に覗き込んで見える様子や種類について、自ら調べるには相当な知識を要する為、今後も様々なものを紹介して頂けると嬉しいです。
応援しています!
記事を読んでいただき、ありがとうございました。
励みになります。