一方、コックピットスタンバイではF-4のほうが便利!?
話をアラートに戻そう。
先述した通り、F-15はエンジンを回さないと電源が入らない。というより外部電源だけを入れてもグランドクーラーを付けないと電子機器には電源が入らないので、電源を入れたチェックの際はエンジンを回すことが常である。
一方、F-4は外部電源だけでほぼ全部の電源が入るので、外部電源を供給すればエンジンを回す必要がない。
この差はコックピットスタンバイの際に違いが出る。F-4の場合、コックピットスタンバイのときはパイロットが乗り込み、外部電源を入れてスタンバイする。当然インターホンも入るので、パイロットとクルーチーフの会話は容易で、長いコックピットスタンバイのときでも雑談などで気を紛らわすことも可能である。
この点F-15の場合は、上記の理由でコックピットスタンバイでもほぼエンジンを回しながら待つことになる。
スクランブルに至らずコックピットスタンバイが解除になった場合、F-4はそのまま待機に就けるが、F-15はエンジンを回した分の燃料を補給しなければならないので二度手間になる。
なのでトータルで見た際、どちらが有利かの差はあまりない。
2020年末、F-4の部隊運用が終了した。不要になったF-4のみが使っていた設備をどうするのか興味深いところだが、機会があったら知り合いに聞いてみようと思う。
連載「元F-15機付長が語る 戦闘機整備員の世界」第3回─終─
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