ジェットエンジンのスタート方法──IDLE回転まで手間がかかる
次に、本命のジェットエンジンのスタートに入りましょう。
ジェットエンジンの始動原理は、まずは適度な回転数まで何らかの力でコンプレッサーとタービンを回します。
ターボファンエンジンの場合はコアエンジン部分を回します。適度な回転数に達したら、次にイグニッション(点火装置)を作動させて燃焼室内に火花を飛ばします。
空気が十分流れ始めたら、燃料を少しずつ流し始めます。IDLE回転数の80%程度までは、エンジンは自力で回ることができないので、それまで補助パワーで回転を助けます。
ちなみにジェットエンジンの回転数1は、100%回転で30,000rpm(1分間当たりの回転数)程度です。IDLE時はエンジンによって異なりますが、だいた60~65%程度で、回転数で言えば20,000rpm程度だと思います。車は8,000rpm程度ですので、ジェットエンジンの回転数は一桁違うようです。
F-15より前の機体──起動車などが必須
エンジンスタートは機種によって異なります。まあ、エンジンが違えば、当然スタート手順も変わってきますよね。
ここで、意外な事実が……。実はF-15以前の戦闘機や練習機、たとえばF-4やT-2などでは自力でエンジンをかけられません。エンジンスタートには地上の機材から電力や圧縮空気をもらって機体内のスターターモーターや小さなタービンを回し、メインエンジンをスタートさせていました。
ですからこれらの飛行機は、エンジンをかけるための地上機材がない飛行場に降りてしまった場合は、それら機材が揃うまでエンジンスタートはできません。
なお、F-4EJでは野戦でもエンジンスタートできるように、火薬でのスタートも可能です。私は一度経験がありますが、機体下面が焦げました(笑)。
ちょっと紹介しておきますと、胴体下に小型バケツ程度の大きさの火薬を装着します。右エンジン用と左エンジン用の2つですね。
そしてコックピットのエンジンマスタースイッチの横にあるスイッチで、左右別々に点火します。そうすると火薬が燃え始め、大量の排気ガスが十数秒間出ますので、その排気の力でスタート用タービンを回します。
この回転をメインエンジンに伝え、エンジンスタート可能な回転数まで上げてから、イグニッションを作動させて燃料を流し始め、メインエンジンを回します。
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