《フェイズ1-b》F-35用F135のアップグレード計画
一方で、P&W社は何年もの間、F135エンジンの能力向上も追求してきた。同社は、2017年に「Growth Option 1.0」というアップグレードを明らかにしていた。これは、高圧圧縮機やタービン、燃焼器などの、素材、ブレード形状、コーティングを改善しようとするものだ。
「Growth Option 1.0」では、飛行エンベロープ(航空機が飛行可能な速度や高度の範囲)全域にわたって、燃費を5から6パーセント向上させ、6から10パーセント推力を増大させようと意図していた。
しかし、提示されたP&W社の案は、F-35ジョイントプログラムオフィスの興味を引くにはほど遠かった。P&W社によれば、この案は発電能力と熱管理に問題があったという。
つづいて2018年にP&W社は、「Growth Option 2.0」を発表している。P&W社は詳細については語っていないが、2017年にフロリダ州にあるP&W社とテネシー州の空軍アーノルド技術開発センターで、アダプティブファンモジュールがF135エンジンでテストされたという。
P&W社によるF135アップグレード計画を紹介する動画
これは燃費が良いまま、さらなる推力を持つF135の能力向上エンジンで、将来に向けてより進歩した高性能な航空機用エレクトロニクスやセンサーのために、より高い発電能力を持つという。
また、このアップグレードでは赤外線帯域におけるF-35のシグネチャーについて不利にならないよう熱を管理する能力がある。同年、P&W社は、F-35B用にロールスロイス社のリフトファンを使用して、短距離離陸・垂直着陸機であるF-35Bの垂直方向への推力を2.5から5%増やすアップグレードパッケージを提案している。
以上のように、改良型のF135、そして競合されるアダプティブエンジン(XA100とXA101)と、複数の新しいエンジンがF-35用のために開発されているところだ。
しかし、F-35に2種類以上のエンジンが採用されれば、共通性が低下し維持コストが高くなってしまうだろう。
XA100とXA101は、将来のF-35AとF-35Cに提供される可能性のあるエンジンであるが、P&W社の担当によれば、アダプティブエンジンに必要となる3層エアフロー技術は、およそ直径4フィート(約1.2メートル)のF-35Bエンジンベイに収容できるかどうかは明らかになっていないという。
F-35ジョイント・プログラム・オフィスは、少なくとも5年は現行のF-35のF135エンジンを換装する要求をしないとしている。そのため、たとえF-35に新エンジンが採用される可能性があったとしても、2025年以降からになると見られている。
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